第33回 関東学生ソフトボール選手権・関東地区予選(埼玉)
準優勝/5年連続・通算22回目の全日本大学選手権 出場権獲得。
第19回 関東学生男子ソフトボール春季リーグ戦 Ⅰ部
4位 東京理科大学
第24回 関東学生男子ソフトボール秋季リーグ戦
準優勝。
東京理科大学ソフトボール部
主将:髙梨大喜さん
監督:柳田信也教授


「練習は水曜日の朝練と土日が基本です。それ以外の時間は、授業の空きコマを使って自主練をしています」
主将の髙梨大喜さん(理学部応用物理学科4年)は、理科大生ならではのタイムスケジュールを教えてくれた。特にユニークなのが、部内で自然発生したという「勉強会」の文化だ。
「練習後に1時間、みんなで図書館や空き教室に集まって課題をやるんです。同じ学科の先輩がいれば、わからないことをすぐに聞ける。このおかげもあって、うちの部には部活動と勉強を両立している人が多くいます。」
もちろん、決して楽な毎日ではない。「正直、実験レポートや課題が重なり、今日は練習に行くのが面倒だなと思う日もあります」と髙梨さんは本音を漏らす。それでも続けられるのは、「ソフトボールが純粋に楽しいから。そして、全国大会で勝ちたいから」。
そのシンプルな想いを支えているのが、仲間の存在だ。
「周りのみんなも同じように頑張っている。先輩たちが乗り越えてきた道だし、同期や後輩もいる。だから自分も頑張れるんです」

髙梨主将が特に大切にしてほしいと語った、チームを象徴する言葉がある。
「日本一のロマンを求めて」
「全国優勝」ではなく「ロマン」としたのは、単に勝つだけでなく、日本一になるための過程や考え方を重視するチームでありたいという願いが込められている。
「明楽爽(めいらくそう)」「熱誠(ねっせい)」
「どんなに苦しい場面でも、明るく、楽しく、爽やかに物事を実践すれば誰かが応援してくれる」「熱意と誠意を持って物事に取り組めば、人の心を動かし協力を生む」という、部のバイブルに書かれた教えだ。
「克己鍛錬(こっきたんれん)」
辛い時こそ自分自身を鍛え、乗り越えるという精神。厳しい学業と部活を両立する部員たちの支えとなっている。



この部を率いるのは、教養教育研究院の教授で運動生理学を専門とする柳田信也監督だ。ソフトボール男子日本代表コーチとしてチームを世界一に導いた実績を持ち、主将の髙梨も「研究と課外活動の両方で成果を出す監督の姿に憧れ、理科大を目指した」と語るほどの指導者である。
柳田監督がチームの根幹に据えるのが、「日本一のロマンを求めて」という理念だ。
「理科大のような大学がスポーツで日本一を目指すのは、不可能に近い挑戦です。だからこそ、その不可能なことに挑戦する姿勢を忘れないでほしい」
この理念には、単に試合に勝つだけでなく、チーム運営や人間性など様々な面で日本一を目指すチームであってほしい、という願いが込められている。
その理念を実現するため、指導法は徹底した合理主義に貫かれている。
まず、チームは完全な実力主義。「同じ実力なら、将来性のある下級生を試合で起用する」と明言し、4年生であっても決して油断できない環境を作り出す。さらに「新入生に雑用はさせません。部のことをよく知っている2年生が準備した方が、圧倒的に効率が良い」と、旧来の体育会的な慣習も排除する。
加えて、選手の自主性を促す仕組みも導入した。週3回の全体練習以外に行う自主練習は、スマートフォンのアプリで「誰が、いつ、何を、何分やったか」をすべて記録・報告させる。データは監督の元に集約され、レギュラー選考で実力が拮抗した際の判断材料にもなるという。
「強制ではなく、自分で時間をマネジメントする。やらない人間は淘汰されていく時代だからこそ、社会で活躍するためにも自分で自分を律する力を養ってほしい」と、その狙いを語る。
科学的知見(データ解析)、合理的なチーム運営(実力主義・効率化)、そして自主性を引き出す仕組み。すべては「勝利」という目標から逆算されたアプローチであり、チームの強さの根幹をなしている。

彼らの「日本一を目指す」という理念は、競技の場だけに留まらない。大学が拠点を置く地域への貢献や、ソフトボール界全体の発展にも向けられている。
その一つが、学生が主体となって運営する大学ソフトボール大会「World Innovation Leaders League (WILL)」への協力だ 。東京大学、早稲田大学と並んで基幹校を務め、大会運営に深く関わっている 。大会期間中には、小中学生向けのソフトボールクリニックや、大学進学に関する座談会なども開催し、次世代の育成にも力を注ぐ 。
また、野田キャンパスでは、野田市・流山市の中学校女子ソフトボール部員を対象としたソフトボールクリニックを定期的に開催している 。これは大学と野田市教育委員会とのパートナーシップ協定に基づく活動で、柳田監督の理論的な講義の後、部員たちが直接技術指導にあたる 。
大学生と中学生が一緒にグラウンド整備をするところから始まり、練習後には学生たちが中学生の質問に丁寧に応じるなど、技術指導を超えた交流が生まれている 。



彼らが掲げる「日本一のロマンを求めて」。その歩く道のりは、決して平坦ではない。その現実を突きつけられたのが、夏の全日本大学選手権だ。富山の地で、チームは初戦で神戸学院大学と対戦。結果は、0-11での敗北だった。
全国の強豪の壁は厚く、高い。しかし、柳田監督が語る「不可能への挑戦」とは、まさにこの厳しい現実と向き合うことでもある。チームには「明るく楽しく爽やかに」というスローガンや、「克己鍛錬」「熱誠」といった、代々受け継がれる言葉が浸透している。敗退の後も、彼らの挑戦が終わるわけではない。この悔しさが、彼らを再びグラウンドへと向かわせる。

最後に、髙梨主将から高校生や新入生へのメッセージをもらった。
「『勉強が忙しいから、部活は無理かも。』と思っているかもしれませんが、やってみたら意外となんとかなるものです。一人では難しくても、同期という強い仲間がいれば乗り越えられる。最初の一歩を踏み出して、この部活で一緒に『日本一のロマン』を追いかけましょう!」
学業との両立という高いハードルを乗り越え、全国の舞台へ。
東京理科大学ソフトボール部の「日本一のロマン」を求める物語は、これからも続いていく。
